キャリートレードってなに?初心者にもわかりやすく解説します

2024年7月に日銀が予想外の利上げ発表を行った際、「日銀ショック」と呼ばれるほどの株価大暴落が起こりました。
その際「円キャリートレードの巻き戻し」という言葉をよく耳にしたと思います。

キャリートレードってそもそもなに?

利上げって一部ではいいニュースって聞いたのに、何故株価が暴落したの?

今回は、初心者でもわかりやすいように「キャリートレード」について詳しく解説します。

目次

1. キャリートレードとは?基本概念の解説

キャリートレード(Carry Trade)とは、低金利の通貨で資金を調達し、高金利の通貨や資産に投資することで金利差から利益を得る投資手法です。
日本円を借りて米ドルや豪ドルなどの高金利通貨に投資することを「円キャリートレード」といいます。
日本のように長年低金利政策を維持している国では、キャリートレードが投資家にとって魅力的な選択肢なのです。

この投資戦略は、金融市場の状況に大きく影響を受けます。
特に日米金利差が拡大すると、キャリートレードが活発化しやすいです。
金利差が縮小すると、キャリートレードが解消される(巻き戻しが起こる)ことで市場が不安定になることもあります。

キャリートレードの仕組みと目的

キャリートレードの基本的な仕組みは、低金利通貨を借りて、高金利通貨や資産に投資するというシンプルなものです。

  1. 低金利通貨で借入れ
    • 例:日本円(政策金利0%)を銀行から借りる。
  2. 高金利通貨や資産に投資
    • 例:米ドル(政策金利5.5%)で米国債や外貨預金に投資。
    • 豪ドルや新興国の通貨で運用することもある。
  3. 金利差による利益を得る
    • 借入通貨の金利よりも、投資先の通貨や資産の金利が高いため、その差額が収益となる。
    • 例えば、日米金利差が5.5%の場合、その差がキャリートレードの利益となる。

キャリートレードの目的は、安定的な金利収入(スワップポイント)を得ることにあります。
為替相場が安定していれば、長期間にわたって一定の収益を確保することが可能です。

日米金利差とキャリートレードの関係性

日米金利差とは、日本とアメリカの政策金利の差を指します。
一般的に、アメリカの金利が高く、日本の金利が低い場合、キャリートレードの魅力が高まるとされています。

日米金利差とキャリートレードの例
  • 日本の政策金利:0%
  • アメリカの政策金利:5.5%
  • 日米金利差:5.5%

この場合、円を借りて米ドルで運用することで、5.5%の金利差が利益となります。


日米金利差が拡大すると、キャリートレードを行う投資家が増え、円売り・ドル買いの流れが加速するのです。

金利差がキャリートレードに与える影響

日米金利差がキャリートレードに与える影響は大きいです。

キャリートレードの活性化
  • 日米金利差が拡大すると、投資家は低金利の円を借りて、高金利のドルに投資する動きが強まる
  • これにより、円安・ドル高が進行しやすくなる
市場のリスクオンとリスクオフ
  • 金利差が広がる → 投資家はリスクを取ってキャリートレードを積極的に実施(リスクオン)。
  • 金利差が縮小する → キャリートレードの解消が進み、投資資金が引き上げられる(リスクオフ)。
為替市場への影響
  • キャリートレードの流れが強まると、円が売られてドルが買われるため、円安ドル高の傾向が強まる
  • 逆に、日銀が予想外の利上げを行うと、キャリートレードの解消が進み、円高になる

過去の事例では、2007年の金融危機時には、キャリートレードの巻き戻しが発生し、急激な円高が進行。
2024年の市場環境では、米国の金利上昇が継続し、日米金利差が拡大。キャリートレードが活発化していました。

日米金利差の変動はキャリートレードの動向を大きく左右し、ひいては為替市場全体にも影響を与える要因となります。

日銀の金融政策がキャリートレードに及ぼす影響

日銀(日本銀行)は日本の中央銀行であり、金融政策を通じて物価安定や経済成長を目指しています。

日銀が行っていること

金融政策の決定と実行

  • 物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することを目的としています。
  • 2013年1月に「物価安定の目標」を消費者物価の前年比上昇率2%と定めました。

金融政策決定会合の開催

  • 年8回、2日間かけて金融政策の方針を決定。
  • 9名の政策委員による多数決で議決を行います。

金融市場調節

  • 公開市場操作(オペレーション)を用いて、金融市場における金利形成に影響を与えます。
  • 資金の供給や吸収を行い、通貨および金融の調節を実施。

政策金利の設定

  • 2025年1月24日の会合で、政策金利を0.50%程度に引き上げることを決定しました。

金融システムの安定性評価

  • 定期的に金融システムレポートを発行し、市場金利の変化が貸出金利や預金金利に及ぼす影響などを分析しています。

経済・物価情勢の分析と展望

  • 「経済・物価情勢の展望」を公表し、CPIの見通しなどを示しています

特に、日銀が長年維持している超低金利政策はキャリートレードを促進する要因だったのです。

日銀が低金利を維持すると、キャリートレードの魅力が高まり、投資家は円を借りてドルや他の高金利通貨に投資しやすくなります。
日銀が金利を引き上げると金利差が縮小し、キャリートレードの巻き戻しが発生する可能性があるのです。

実際過去にあった事例

2023年に日銀が利上げを示唆し、円高が進み、キャリートレードのポジション解消が加速

ドル円相場とキャリートレードのダイナミクス

ドル円相場は、日本円と米ドルの為替レートを示します。
為替レートは、国際的な資本移動や貿易、金利政策によって変動するものです。
日米金利差は大きく影響を与え、米国が金利を引き上げると円安ドル高になりやすい傾向があります。

  • キャリートレードが活発化
    投資家が円を売ってドルを買うため、円安ドル高が進行しやすくなる。
  • キャリートレードの解消(巻き戻し)
    投資家が円を買い戻しドルを売るため、円高ドル安が進行しやすくなる。

特に、金融危機などのリスクオフ局面では、キャリートレードの解消が急激に進み、急激な円高を引き起こすことがあります。

 過去のキャリートレード事例と市場への影響

キャリートレードは、2000年代初頭から広く利用されており、特に2007年までの円キャリートレードは非常に活発でした。
2008年のリーマンショックで金融市場が急変し、投資家がリスク回避のためにキャリートレードを解消し、大規模な円買いが発生。円高が急速に進行しました。

キャリートレードの急激な解消は、為替市場のボラティリティ(変動性)を大きく高める要因となります。
金融市場が不安定になると、投資家はリスクを回避するためキャリートレードを解消し、円が急騰する場合があり注意が必要です。
企業や投資家にとって大きなリスクとなる可能性があります。

現在の市場環境とキャリートレードの展望

2025年現在、米国の政策金利は4.5%と高水準を維持しています。
日本は金利を上げたものの0.5%にとどまり、他国と比べて低金利政策を継続中です。
日米金利差は依然として大きく、キャリートレードに適した環境となっています。
2025年の米国の利下げペースは鈍化すると見られており、円キャリートレードが再燃するという見方が強いです。

今後のキャリートレードの可能性

米国の金利が大きく低下すれば、日米金利差が縮小し、キャリートレードの魅力が低下する可能性があります。
世界経済が安定し、リスクオンのムードが広がれば、キャリートレードは引き続き活発になるでしょう。
日銀の政策動向と米国の金融政策が、キャリートレードの今後の動向を大きく左右する要因となります

キャリートレードを活用する際のポイント

キャリートレードを活用する際は、金利差だけでなく為替リスクを考慮することが重要です。
また、市場の変動が激しい場合は、ポジションを縮小するなどのリスク管理が求められます
日銀やFRBの政策変更はキャリートレードに大きな影響を与えるため、経済指標や中央銀行の発表に注意を払うべきです。

リスク管理の方法

  • 損切り設定を行う:為替相場が急変した際のリスクを限定するために、ストップロス注文を設定する。
  • 分散投資を行う:すべての資金をキャリートレードに投資せず、リスク分散を意識する。
  • 金利動向を定期的に確認する:日米の政策金利の変化を見極め、適切なタイミングでポジションを調整する。

キャリートレードは適切に活用すれば、安定したリターンを得られる投資手法ですが、市場の変動に注意しながら慎重に運用することが成功の鍵となります。

まとめ

  • キャリートレードは、低金利の通貨で資金を調達し、高金利の通貨や資産に投資することで金利差から利益を得る投資手法
  • 日本円を借り入れ、米ドルや豪ドルなどの高金利通貨に投資する「円キャリートレード」が世界的に活発に行われている。
  • 日米金利差が大きくなると、キャリートレードの魅力が増し、円安ドル高が進行しやすくなる。
  • 日銀が利上げを行うと、金利差が縮小し、キャリートレードの巻き戻し(ポジション解消)が発生
  • 過去の事例では、2008年のリーマンショック時や2023年の日銀政策変更時に急激な円高が進んだ。
  • キャリートレードは安定した収益をもたらす一方で、為替変動リスクが大きい投資手法。

今後、米国の利下げや日銀の政策変更によって、キャリートレードの状況は大きく変化する可能性があります。
投資家は、金利動向、日銀とFRBの金融政策、為替市場の変動を常に注視し、適切なリスク管理を行うことが重要です。
慎重な資産運用と分散投資を心がけることで、キャリートレードの利益を最大化しつつ、リスクを最小限に抑えることができます

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この記事を書いた人

株歴5年目、趣味はピラティスと推し活。
株はデイトレ&推し銘柄を長期で保有
自分自身もアウトプットすることで成長していきたいです!

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