2024年にYYCが撤廃され、「日銀利上げ」が一大ニュースとなりました。
利上げとは、政策金利の引き上げのことです。

この日、日経平均は大きく値を下げ、のちに「日銀ショック」と呼ばれました。
日銀が利上げしたら、銀行が儲かるよね!銀行株を買おう!
利上げっていうのは凄いニュースらしいけど、結局なんで株価に影響が出るの?
今回は「利上げ」と「銀行株」の株価の関係性について、わかりやすく解説します。
日銀の利上げとは?基本から理解しよう
「利上げ」と日本銀行(日銀)の利上げとは、政策金利を引き上げることを指します。
政策金利とは、日銀が銀行に貸し付ける際の基準金利であり、これが上がることで市場全体の金利が上昇するのです。
金利が上がると何が変わるのでしょう。
金利の上昇は、日本経済全体に影響を及ぼします。特に以下のような変化が生じます。
- お金を借りるコストが増加:企業や個人のローン負担が増え、住宅ローンや事業資金の借入れが抑制。
- 預金の利息が増える:銀行が預金者に支払う利息が増え、預金をするメリットが高まる。
- 企業の投資が減る:企業が銀行から資金を調達するコストが上がり、新規投資を抑える傾向が強まる。
- 株価への影響:金利が上がると資金が債券市場に流れやすくなり、株価下落の可能性がある。
消費者のローン金利も上昇するため、自動車ローンやクレジットカードの分割払いのコストが増加し、消費行動が抑制される傾向があります。
高金利の定期預金などの金融商品が魅力的になり、貯蓄が増える可能性もあるのです。
なぜ日銀は利上げをするのか?その背景と目的
日銀が利上げを行う主な目的は、インフレ(物価上昇)の抑制です。
日本経済は長らく低金利政策を維持していました。
最近ではインフレ率の上昇を受けて、利上げの必要性が高まっています。
- 物価が急激に上昇すると、消費者の購買力が低下し、生活が圧迫される。
- 住宅価格や資産価値が急上昇すると、バブル経済のリスクが高まる。
- 通貨価値の下落を防ぐため、国際的な信用を維持する必要がある。
金融緩和の長期化による弊害として、不動産市場の過熱や過剰なリスクテイクが見られることがあり、これを抑えるためにも利上げが選択されることがあります。
金利が上がると銀行はなぜ儲かるのか?仕組みを解説
銀行の主なビジネスモデルは「お金を貸して利息をもらう」ことです。
銀行の利益は主に貸し出し金利と預金金利の利ざや(スプレッド)によって決まります。
金利が上昇すると銀行が得られる利息収入(貸出金利)が増えるため、銀行の利益が増えるのです。
- 貸出金利 – 預金金利 = 利ざや(銀行の利益)
- 金利が上がると貸出金利も上昇し、利ざやが拡大
- 銀行の利益が増え、収益性が向上する
金利の上昇により、銀行が企業や個人に貸し出す金利も上がるため、銀行の収益は向上します。
銀行株の株価が上がる理由とは?利上げとの関係性を解説
日銀が利上げするという話を聞いて、銀行株の株価も上がるという話を聞いたことがあるでしょう。
銀行株の株価が上がる理由は、以下の3点があげられます。
- 市場の期待が高まる:銀行の利益拡大が見込まれ、投資家が銀行株を買う。
- 貸し出し利ざやの増加:利上げにより貸し出し利ざやが拡大し、収益が向上。
- 財務の健全化:銀行の自己資本が増え、財務基盤が強化される。
日米金利差が銀行株に与える影響
銀行株の動きは、日銀の金利動向だけでなく、日米金利差にも影響を受けます。
2024年7月に日銀が予想外の利上げを実施した際、利上げしたはずなのに株価が大幅に下落しているのです。
これは、日米金利差が縮小したことが原因とされています。
日米の金利差とは?
「金利差」とは、日本とアメリカの政策金利の差を指します。
- アメリカの金利:5.5%
- 日本の金利:0%
- 金利差:5.5%(アメリカの方が高い)

日米金利差が及ぼす影響は、以下の5つです。
- 為替相場への影響
- 銀行の収益拡大
- 海外投資家の動向
- 米国金利の変動による影響
- 債券市場への影響
為替相場への影響
金利差が大きくなると、投資家はより高い金利を求めてアメリカへ資金を移動させるため、円安が進みます。
円安になると、日本の輸出企業にはプラスになりますが、輸入コストが上がるため物価上昇につながる可能性があります。
銀行の収益拡大
日本の銀行は、外貨建てで資金調達を行うことも多く、日米金利差が拡大すると調達コストが上がる一方で、外貨預金や貸出の収益が増える可能性があります。特にメガバンクは海外事業を持つため、アメリカの金利が高い時期にはドル建て資産の運用益が上昇し、収益拡大につながります。
海外投資家の動向
日米の金利差が縮小すると、円高方向に動く可能性があり、海外投資家が日本の資産を購入しやすくなります。その結果、日本の銀行株も買われやすくなり、株価上昇の要因となることがあります。
米国金利の変動による影響
米国が利下げに転じると、日米金利差が縮小し、資金が日本市場へ回帰する可能性があります。これにより、銀行株が再評価されることが考えられます。
債券市場への影響
金利差が広がると、投資家は相対的に高いリターンを求めて米国債へ資金を移す傾向が強まります。一方、日本の国債価格は下落する可能性があり、日本の銀行が保有する国債の価値にも影響を与えることがあります。
このように、日米金利差は日本の銀行業界全体の収益構造や投資家の行動に大きな影響を与えるため、金利動向を常に注視することが重要です。
実際の銀行株の株価の値動きはどうなっている?
銀行株セクターの値動きを代表するものとして、株価指数(銀行業)のヒストリカルグラフをみてみましょう。
日銀が行った、利上げに関する金利政策は以下の時系列で発表されました。

上記のように、政策金利の引き上げのニュースを発表した瞬間の銀行株セクターの値動きは一時下落し、その後上昇する動きになっています。
一時銀行株の株価が下落する動きは、キャリートレードの巻き戻しが意識される影響値の方が上回っているからと考えられます。
キャリートレードについてはこちらの記事も参考にしてください。

まとめ:日銀の利上げと銀行株の関係を正しく理解しよう
- 日銀の利上げは、銀行の利ざやを拡大させ、銀行株にプラスの影響を与える。
- 日米金利差が縮小すると、銀行株がさらに上がりやすい。
- 為替市場や債券市場の動向にも注目し、総合的な投資判断が求められる。
- 投資家は金融政策の動向を注視し、適切な投資判断を行うことが重要。
銀行株への投資を考える際は、日銀の政策動向をしっかりチェックしましょう!
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