サンリオの株価が上場来高値をとったあとに、3日続落中です。
これには、サンリオがクロミの著作権をめぐり、スタジオコメットに訴訟された件が関係しているとみられています。
なんで訴訟されてるの?
もし敗訴した場合どうなるの??
気になるクロミ裁判について徹底解説します!
そもそもスタジオコメットとサンリオの関係は?
スタジオコメットとは、アニメ「おねがいマイメロディ」の制作スタジオです。
クロミは、そのアニメの中で生まれたキャラクターです。

私も覚えてるけど、クロミちゃんとバクくんの登場はすごく新しくかったです!
マイメロに「病みかわいい」要素が加わって、これは人気になるだろうなと思ってました。
スタジオコメットの代表取締役である茂垣弘道氏の主張は以下です。
「クロミは「おねがいマイメロディ」の制作過程で生まれたキャラクターなので、著作権はスタジオコメットに帰属する。」
おねがいマイメロディの制作にあたり、クロミは生まれました。
元々ウラミになるはずだったところを監督の助言で、クロミという名前になったというエピソードもあるほどです。
スタジオコメットの主張も一理あるでしょう。
サンリオのキャラクターの中で他にグレーなキャラはいる?
サンリオはアニメやゲーム、教育にも手広く事業拡大しています。
意外とサンリオのものだと知らないキャラクターもいるでしょう。
例えば「SHOW BY ROCK!!」はサンリオのIPで、アニメやゲームが制作されています。


プロジェクトにおいて、他社と共同で作成していますが、製作委員会方式を採用しており、フリュー株式会社が代表幹事を務めていました。
音楽をポニーキャニオンが手掛けたり、ゲームはギークスという会社が作ったりしています。
しかし、ライセンス方式を採用しており、著作権はサンリオが保持しています。
なぜスタジオコメットの反感をかってしまったのか
スタジオコメットが訴訟した経緯として、以下の3つの要因が考えられます。
- クロミの生みの親として、サンリオのデザイナーが複数名挙げられていること
- クロミの誕生に際し、スタジオコメットの功績が説明されていないこと
- クロミのグッズや書籍にスタジオコメットの明記がないこと
クロミの生みの親として、サンリオのデザイナーが複数名挙げられていること
クロミの生みの親としてサンリオのデザイナーがいくつか挙げられています。
- 2020年発行のクロミファンブックに、山口裕子氏(サンリオのデザイナー)が生みの親と表記
- 初期のデザインは、小林久美子氏(サンリオのデザイナー)が考案したと表記
- 2代目のデザイナーとして、りーも氏(サンリオのデザイナー)が考案したと表記
複数名のクロミの生みの親が挙げられていますが、スタジオコメットについては表記がありません。
このことが、ファンにも混乱を与え、スタジオコメットの茂垣氏が不満に思っていることのひとつでしょう。
クロミの誕生に際し、スタジオコメットの功績が説明されていないこと
クロミはアニメ「おねがいマイメロディ」の制作過程で生まれたキャラクターです。
サンリオのキャラクターの、バットばつ丸やルルロロマニックのように、マイメロディの敵役として考案されました。




クロミ誕生にあたり、スタジオコメット側の主張としては、アニメーターの宮川知子氏がデザインを手掛けたとのことです。
サンリオ側は、キャラクターの著作権および人格権はサンリオが保持していると主張しています。
制作過程でスタジオコメットが関与していることがファンに伝わっていない形になっていることが、スタジオコメットの不満に思っている点でしょう。
クロミのグッズや書籍にスタジオコメットの明記がないこと
クロミのグッズや書籍には、スタジオコメットの明記がありません。
アニメからキャラクターができて、グッズ展開しているものはドラえもんやポケモンなど、たくさんありますが、著作権は制作会社にはなく、全てライセンス方式です。
サンリオの事業収益の多くもライセンスによるもので、クロミに関してもライセンス式といえます。
他のキャラクターと違い、アニメ「おねがいマイメロディ」で初めて登場したキャラクターであることから、著作権の帰属問題についてスタジオコメットは不満に思っているのでしょう。
スタジオコメットの主張するクロミの生みの親、宮川知子氏はどんな人?


宮川知子さんは、日本の漫画家、イラストレーター、アニメーター、キャラクターデザイナーです。
彼女はスタジオコメットに所属し、「おねがいマイメロディ」シリーズや「ジュエルペット」シリーズのキャラクターデザインを手掛けています。
特に「ジュエルペット」の作者としても知られています。
宮川さんは、多くのアニメ作品でキャラクターデザインや総作画監督を務めており、現役で活躍中です。
クロミのデザインも彼女が担当しており、現在はサンリオとの著作権問題に関与しています。
スタジオコメットはサンリオにどのような対応を求めている?
スタジオコメットがサンリオに求める対応は以下です。
- クロミのデザイナーについて、宮川知子氏が担当したことを明記すること
- クロミのグッズや書籍にスタジオコメットの表記を加えること
スタジオコメットの主張が通れば、クロミの著作権侵害ということになり、違約金やクロミのライセンスに関しても利益分与することになるかもしれません。
クロミの著作権問題に関してSNSの支持はどちらが多い?
クロミの著作権問題に関してはスタジオコメットの宮川知子氏を支持する意見が多いようです。
過去に著作権侵害をめぐる事件はどんなものがある?
「けろけろけろっぴ事件」


原告のカエルをモチーフにした図柄とサンリオの「けろけろけろっぴ」の図柄が似ているとのことで、著作権侵害に当たるとしてサンリオを訴訟。
裁判所は、両者の基本的な表現は類似しているものの、細部の表現においては異なる点が多く、原告の図柄から直接「ケロケロケロッピ」を想起することはできないと判断。
この際はサンリオの勝訴となり、原告側が訴訟費用を負担しました。
「漫画村事件」


海賊版サイト「漫画村」が漫画作品を無断で配信し、著作権侵害で訴訟。
元運営者は実刑判決を受け、出版社は約19億円の損害賠償を求めています。
「チョコエッグ事件」


フィギュア製造業者の海洋堂と菓子類製造業者のフルタ製菓との間で起こった著作権紛争。
海洋堂はフルタ製菓に対して、チョコエッグのおまけとして提供されるフィギュア(妖怪シリーズなど)の模型原型の著作権使用許諾契約に基づき、ロイヤリティの支払いを要求。
フルタ製菓はフィギュアが著作物ではないと主張しましたが、裁判所は妖怪フィギュアについては著作物性を認め、フルタ製菓に約1億6000万円の支払いを命じました。
サンリオの時価総額は約1兆6359億円です。
もしも訴訟ということになれば、クロミのライセンスに関する売り上げも相当高額と予想されるので、賠償金額も大きくなるでしょう。
サンリオとスタジオコメットの契約はどうなっていた?
サンリオとスタジオコメットの「おねがいマイメロディ」制作にあたる契約がどのようなものになっていたかは明らかにされていません。
著作権契約書には、以下の内容を明記することが重要です。
- 著作物の特定:
- 契約の対象となる著作物を明確に記載します。
- 例えば、著作物名や著作者の名前を記載します。
- 著作権の帰属:
- 著作権が誰に帰属するかを明記します。
- 依頼会社に帰属させる場合は、具体的な権利(翻案権など)を含むかどうかも明示します。
- 利用方法:
- 著作物の利用方法や範囲を具体的に定めます。
- 著作者人格権: 著作者人格権の行使についての取り決めを明記します。
サンリオとスタジオコメットの訴訟では、以下の点が契約書面で争われそうです。
- 著作権の帰属:
- クロミの著作権がサンリオに明確に帰属しているかどうかが争点です。
- 著作者人格権:
- スタジオコメットが著作者人格権を行使する権利があるかどうかが問題視されています。
- 契約内容:
- アニメ制作過程での契約内容や、著作権の譲渡に関する具体的な取り決めがどのようにされていたかが重要です
まとめ
スタジオコメットのクロミ著作権に関する訴訟問題は、サンリオ側が宮川知子氏がデザインしたことを明記していないことが抗議されています。
著作権侵害に当たるかは、スタジオコメットとサンリオの間で「おねがいマイメロディ」制作にあたりどのような契約書がまかれていたかが問題になりそうです。
クロミ生誕20周年にあたり、表面化してきた問題ですが、平穏にクロミの生誕を祝いたいものですね。
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