ウォーレン・バフェットがS&P500を売却、その狙いと日本株の関係とは?

最近、ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがS&P500に連動するETFをすべて売却し、現金比率を高めていることが大きな話題となっています。
バフェットは長期的な視点で投資を行うことで知られ、S&P500の市場動向を見極める投資家としても注目されています。

今回はなぜバフェットがS&P500に連動するETFをすべて売却したのか、その狙いを考察していきます。

目次

バフェットがS&P500を売却した背景とは?

ウォーレン・バフェットがS&P500に連動するETFをすべて売却した背景には、以下の4点が関係しています。

  • S&P500が高水準にあること
  • バフェット指数が警戒レベルに達していること
  • 経済環境の変化
  • 金利の上昇

S&P500が高水準にあること

S&P500は近年、歴史的な高水準を記録しており、過去最高値を更新し続けています。
株価収益率(PER)は30倍を超え、投資家の期待が過剰に反映されている可能性があるのです。

出典:TradingView

市場全体が楽観的な雰囲気に包まれる中、バフェットはこうした状況を慎重に分析し、S&P500の銘柄をすべて売却することでリスク管理を強化しています。
バフェットは「割安な投資機会を待つ」という基本戦略を堅持し、現在のS&P500の水準では新規投資を控える姿勢をとっているようです。
バフェットの慎重な姿勢は、過去の市場サイクルを見ても一貫しており、次の大きな投資機会を待つための準備を進めていると考えられます。

バフェット指数が警戒レベルに達していること

バフェット指数とは、株式市場全体の時価総額を名目GDPで割った指標のことです。ウォーレン・バフェット自身が「市場の割高・割安を判断する重要な指標」として注目しています。
この指数が高水準になると、株式市場全体が過熱している可能性が高まるのです。

引用:マネックス証券

現在、バフェット指数は200%を超えており、S&P500の評価が過剰になっていることを示唆しています。
これは、過去の市場暴落の前兆と似た状況であり、バフェットが警戒感を強める理由の一つです。

バフェットは、こうした過熱した市場環境の中で新規投資を抑え、「適切な投資機会が訪れるまで待つ」姿勢を貫いています。
現金比率を高めることで、市場の急変に備える準備を進めているのです。

経済環境の変化

市場環境の変化も、バフェットのS&P500売却の決断に影響を与えています。

株式市場を取り巻く不安定な状況

インフレ率の上昇
地政学的リスク
米国経済の不透明感


こうした不確実性の中で、バフェットは長期的な視点から慎重な投資戦略を選択しました。過去の市場サイクルを見ても、バフェットは景気後退や市場の調整局面を待ち、割安な時期に大規模な投資を行う傾向があります。
今回の売却も、今後の市場の動きを冷静に見極めるための準備の一環と考えられるのです。

金利の上昇

金利の上昇もバフェットの戦略に大きな影響を与えています。
FRBがインフレ抑制のために金利を引き上げており、債券の利回りが上昇しているのです。
バフェットは、S&P500の高リスクな投資よりも、安全な短期国債などに資金をシフトさせることで、リスクを抑えた運用を進めています。

金利が上昇すると、企業の資金調達コストが増加し、収益性が低下する可能性があります。これにより株式市場全体の成長が鈍化し、特に高PERの銘柄にとってはリスク要因となります。バフェットはこうした環境変化を考慮し、S&P500から資金を引き揚げ、安全な資産へと移行しているのです。

バークシャー・ハサウェイのS&P500関連ETFの売却について

今回ニュースで「バフェットがS&P500をすべて売却した」という言葉を目にすることが多かったと思います。
正しくは、「ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイがS&P500に連動するETFをすべて売却」したのです。

今回の売却について、2つの意見があります。

  • そもそもバークシャー・ハサウェイの保有するS&P500に連動するETFの比率は
    ポートフォリオのごくわずかである
  • S&P500を推奨していたバフェットの会社が現金比率を高めているということ自体が
    警鐘的と捉えられる

バークシャー・ハサウェイのS&P500関連ETFの比率

バークシャー・ハサウェイのポートフォリオにおけるS&P500に連動するETFの比率はごくわずかであり、今回の売却が同社の投資戦略全体に与える影響は限定的であると考えられています。

スクロールできます

2024年の2Qと3Qを比較すると、2QのポートフォリオにあったS&P500関連ETFはポートフォリオ全体のわずか0.01%、時価総額2144万ドルほどで、市場規模からするとごくわずかです。
よって、S&P500ETFがこのニュースで急落する可能性は低いのではないかと言われています。

バークシャー・ハサウェイの現金比率について

バークシャー・ハサウェイの現金(預金と米短期債の保有額を合計した額とする)は2024年9月末時点で3252億ドルと過去最高を更新しました。
今回明らかになった2024年3Qでの保有上場米国株のポートフォリオ合計額は2671億ドルなので、現金比率の方が高くなっています。
現金の内訳は、預金11%に対して短期債が89%です。
短期債を買っているということは、ここから半年以内に大きな市場の波乱があると見込んでいるとも取れます。

バークシャー・ハサウェイが買い増したセクターと圧縮したセクター

今回明らかになった2024年3Q時点でバークシャー・ハサウェイが買い増した銘柄は以下です。

ドミノピザ(DPZ)

プール(POOL)

どちらも一般消費財のセクター銘柄で、バフェットはハイテク株よりも今は一般消費財セクターが割安であり、今後伸びる可能性が高いと目をつけていると考えられます。

今回明らかになった2024年3Q時点でバークシャー・ハサウェイが圧縮した銘柄のうち、保有数上位5位内に入っている銘柄は以下です。

アップル(AAPL)

バンク・オブ・アメリカ・コーポレーション(BAC)

これらの銘柄は電気通信や金融セクターです。アップルの売却については、ポートフォリオの分散度合を高めるために、一極集中を避ける狙いもあると考えられます。米国の景気後退リスクが高まると、銀行株の下落リスクが大きくなるため、金融セクターの銘柄も売却していると考えられるでしょう。

バフェットと日本株

バフェットは日本株の中でも特に商社株を積極的に買い増しています。三菱商事、三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅といった大手商社は、世界的な資源取引や安定した配当が魅力となっており、バフェットの投資戦略に合致していると考えられるのです。

これらの企業はグローバルなネットワークを持ち、資源ビジネスを通じて安定した収益を生み出しています。
配当利回りも高く、バフェットの「長期保有」戦略に適している点も注目です。
日本政府の企業統治改革が進む中、株主還元の強化も商社株の魅力を高めています。

▼関連ニュース

Bloomberg.com
バフェット氏の買い増し意欲、低迷商社株に「干天の慈雨」 資産家ウォーレン・バフェット氏は22日、バークシャー・ハサウェイの投資家に向けた年次書簡で、日本の商社株保有を「時間をかけて」増やす可能性が高いとの見方を示した。

日本株の人気が再燃する可能性あり?

バフェットが日本株に注目している理由の一つは、日本企業の割安感です。
日経平均株価のPERはS&P500に比べて低く、配当利回りも魅力的な水準にあります。
日本政府が株主還元策を強化しつつあり、株価の上昇余地があると見られるでしょう。

さらに、円安の進行が日本の輸出企業に追い風となり、業績の拡大を後押しする可能性があります。
特に、自動車や半導体関連の企業は、国際競争力を高めつつあり、今後の市場成長が期待されるのです。
バフェットの日本株投資は、今後の日本市場の注目度を高める要因の一つとなるでしょう。

まとめ

ウォーレン・バフェットがS&P500に連動するETFを売却した背景には、市場の過熱感やバフェット指数の上昇、金利環境の変化などが影響しています。
S&P500が高水準にある中、バフェットは「割安な投資機会を待つ」姿勢を取り、現金比率を過去最高水準にまで引き上げました。

また、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオ全体におけるS&P500関連ETFの比率はもともと低く、今回の売却が直接的な市場への影響を及ぼす可能性は限定的と考えられます。
しかし、バフェットが市場のリスクを警戒していることは明らかであり、将来的な市場の変動に備えているようです。

一方で、バフェットは日本株、特に商社株への投資を拡大しており、日本市場の割安感や安定した配当が魅力と判断している可能性があります。
今後の市場環境の変化に応じて、バフェットの投資戦略がどのように展開されるのか、引き続き注目が集まるでしょう。

投資家にとっては、バフェットの動向を参考にしつつ、市場の割安・割高を慎重に見極めることが重要です。
特に、米国市場の過熱感や金利環境、日本市場の潜在的な成長余地など、グローバルな視点で投資判断を行うことが求められるでしょう。

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この記事を書いた人

株歴5年目、趣味はピラティスと推し活。
株はデイトレ&推し銘柄を長期で保有
自分自身もアウトプットすることで成長していきたいです!

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